フロンティア

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2015年4月……無名のゲーム会社が、後に社会現象を巻き起こす新感覚オンラインゲーム『フロンティア』を発売した。 前情報の無い突然の発売に関わらず、フロンティアは飛ぶように売れた。 それもそのはず……実現不可能と言われた擬似体験型、つまりバーチャルリアリティゲームだったからである。 初期起動においてかなりの完成度を誇り、本当に自分がゲーム世界に入り込んだかのような感覚をプレイヤーに植え付けた。 頭に脳波を読み取るヘッドギア型の本体を装着することでゲームがスタートし、意識はフロンティアの世界の中へ向けられる為……プレイ中現実世界にいるという感覚は無く、違和感を感じることなくゲームに集中することが出来るのだ。 意識を現実世界に戻すにはゲーム内でセーブポイントにたどり着くか、脳波に異常をきたした場合と、第三者による本体の強制終了の行使により意識は現実へと戻るようになっている。 つまり、現実にいながら現実に居るという感覚が無いのである。 現実の一月(約30日)を1クールとし、一ヶ月置きにシナリオを変更を行うという、プレイヤーを飽きさせずに非常に長く遊べる仕様になっていた。 その為プレイ人口は非常に多く、日本人口の10分の1がプレイヤー登録しており、本来のゲーム以外の使い方を行っている者を含めば、その数は全人口の半数以上がプレイ経験があるという異常な数値を記録している。 発売より8年が経った2023年4月をもっても、プレイ人口は未だに衰退の域を出ない。
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