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図書館から追い出された二人はとぼとぼと歩いていた。
「ちょっとどうすんのよ!?
克也が騒ぐから追い出されちゃったじゃない……」
「ふざけんな!
お前がわーわー怒鳴るからだろうが!」
あの場合どっちもどっちなのだが、二人はお互いになすりつけ合いながらまだ騒ぎ続ける。
一通り言いたいことを言い終わる頃、二人は近所の公園の前へとたどり着いていた。
「はぁ……何か無駄に疲れた。
とりあえず休もうぜ」
「賛成……。
ちょっと克也~飲み物買って来てよ」
公園のベンチに倒れ込む由亜から飲み物を頼まれた克也は「おう」と、うなだれながら短く言葉を返し、そのまま自販機へと向かって行った。
「ふ~っ……生き返った!」
まだ6月とはいえ、歩き続けながらの口論でヒートアップして出た汗を拭いながら、由亜は克也から貰ったジュースを一気に喉を通す。
「さぁて……どうするよ?」
同じく汗を拭きながらベンチに寄り掛かる克也は、視線を前に向けたまま由亜に問い掛けた。
「今日はもう図書館は使えないよね。
どっか良い場所無いの?」
「ん~、あっ!」
特に考えるつもりも無かった克也は、適当に受け流そうとしたのだが咄嗟に思いついた場所があった。
「え、良いとこあった!?」
興味津々で聞く由亜は、またしても上目使いで克也に振り返った。
(く……こいつ狙ってんじゃねぇのか!?)
心の中で叫びつつ、沸き上がる気持ちを落ち着かせながら克也は答えた。
「フロンティアさっ!
俺がさっきやってたゲーム!
あれなら時間も場所も気にせずに済むぜ!?」
自信満々で言い放った克也だったが、由亜の反応は期待したものではなかった。
「何を言うかと思えば……期待して損した」
上目使いを止め、目をつむり正面に向き直った由亜は、ため息混じりで落胆した。
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