玉響

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最後に私を引き取って育ててくれた年老いた祖母が、私の自立するのを待っていたかのように就職した年に死んでしまった時ほど、心底心細かったことはなかった。   その喪失感は大変なもので、魂というものがあるならば、この時、私のそれは半分もげてどこかに無くしてしまったようだった。   何に対しても“のめり込む”ということができなくなった。   仕事や趣味はもちろん、人間関係、とりわけ恋愛に関してもダメージは大きかった。   私の愛した人達はいずれ皆いなくなるのだという思いが強すぎて、もう誰も愛せないとすら感じていた。   また、あの時同時に自分の感覚も半分失ってしまったようで、疲れているのにそれを認識できずに、無理を重ねる傾向にあった。    今回のことが、その終末の形だったのだ。   夢の終わり、私は真っ暗な闇の中に、どこまでも落ちていく。声を出しても足掻いても、誰も助けてくれない深い闇だ。
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