玉響

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話し終えると、涙が溢れていた。まるで内なる膿がすべて出たようで、心なしか気持ちがすっきりとしている。   「辛いことが、沢山あったんだね」   哲平は、とても温かい手で、優しく額を撫でてくれた。   どうしてこんなに心を許せたんだろう……。   それは今でも、はっきりとは分からない。   多分、二人は相反する環境と立場にいて、だけれど二人とも、生きていくのに大切な、決定的な何かが欠けていたのだと思う。   その点で、惹かれたのかもしれなかった。   ―――― その後、リビングで哲平の淹れてくれた美味しいコーヒーを飲んだ。   「でも良かったよ、すっかり顔色もよくなって。」   素直に他人を心配できる彼は、羨ましくも眩しかった。   哲平は少し仮眠をとって、また仕事に行くのだというので、私も一緒に部屋を出て家に帰ることにした。   別れ際、哲平の提案で電話番号を交換した。別に何かを期待したわけでも無かったけれど、借りたお金は返したかったし、落ち着いたらお礼はしないといけないと思っていた。
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