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「哲平君?」
彼の声が聞こえて、どこかホッとしている自分がいる。きっと彼のことだから、仕事の合間にも気になったんだろう。
「いや、ちゃんと帰れたかなと思って……」
「……帰れるわよ、子どもじゃないんだから」
素直になれずに思わず悪態をついたのに、哲平は「そうだよね」と笑ってくれた。
「でも、心配だったから。あんな事があったばっかりだし……」
「会いたい」
急に胸がモヤモヤして、私はそんな言葉で哲平の話のこしをおっていた。
「いいよ」
哲平の声が、受話器のむこうで優しかった。
―――― 誰かを愛してしまう気持ちは、どうやったって止められない。
そんなことも分かっていなかった私は傲慢で、だから、罰が当たったのだ……。
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