玉響

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夜、隣の駅で待ち合わせて食事をすることにした。   飾り気のないカジュアルなダイニングレストランは、いかにも哲平の行きつけらしかった。   おいしい地中海料理にワインもすすむ。   私は、“ベンチの日”までの話もした。   大学を出て、ずっと念願だった企業に就職できたものの、そこはとても辛い場所だったこと。   そして今日、あまりにもあっさり私物が送りつけられたこと……とにかく全て話した。   時に真剣に、時に冗談をはさみながら、やっぱり哲平は、私の散々な愚痴を嫌がらずに聞いてくれるのだ。   嬉しいせいか、いくらでも呑めてしまう。   哲平が止めるのもきかずにすっかりホロ酔い気分で、私はまた彼のマンションを訪れた。
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