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目覚めると、焼きたてのトーストやコーヒーのいい香りがした。
目をこすりつリビングに向かうと、もうちゃんと出勤の準備をした哲平が「おはよう」と微笑む。
本当に、まめまめしさが板についているんだなぁと感心したものだった。
出会った時のままに、いかにも清潔そうで穏やかな彼が、昨夜はあんなに情熱的に、何度も何度も私を抱いたのだと思うとドキドキした。そんなことは久しぶりで、私は自分自身に驚いていた。
部屋の中は涼しかったけれど、ブラインドの向こうは今日も暑そうだ。
楽しい会話を交わしながら朝食をとっていたが、時々哲平が分かりやすく、何か言いたげにしているのに気づいた。
「何?何かついてる?」
「いや、こんなこと言ったらまた朋美さん怒るかなぁって……、でも、……うーん、どうしようかな…」
「何?まどろっこしいなぁ」
彼は一度うつむいてから、思い切ったように言ったのだった。
「朋美さん、ここに住んだらどうかな」
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