308人が本棚に入れています
本棚に追加
何言ってるの。……ともつっこめずに居ると、彼はやっぱりマズかったというふうな顔でまたすぐに謝ってきた。
「……ううん。……お言葉に、甘えようかな」
いくつか思うところはあったのに、私はごく自然に、そんな返事をしてしまっていた。昨夜のこともあって、半分上の空だったような気もする。
それでも分かり易い哲平の笑顔を見てしまうと、不思議とまぁいいかと思えてしまうのだ。
「良かった。また怒らせたかと思った」
「ううん。実際仕事もなくなって、これから困る予定だったんだから。ありがたいよ」
哲平が淹れてくれた熱々のコーヒーを口にすると、私はあらためてホッとしている自分を感じた。
とりあえずの住処を確保できたというよりも、彼や、彼の暮らすこの空間は、私にとってとても安心できて、しっくりとくるものだったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!