始まり

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 毎日、毎日同じ事の繰り返しに、少しづつ自分が腐って行く。  自分の時間を金で売り、稼いだ金で女を買う。  本当に欲しい物には手も出せずに、辛うじて買える安物で誤魔化す日々。  投げ出す事も出来ず、諦める事も出来ず、手にする事はさらに出来ず。  ただ人を羨み、妬み、疎み俺は今日も1日をここから始める。  俺は、今村勇介、今年で22歳になる。  地方都市と呼ぶには申し訳無いようなK市に住んでいる。  情けない程悪い頭で、3流の私立高校を中退して、喫茶店でコーヒーを煎れて生活費を稼いで、休みの日はパチンコ店で時間を過ごし、早くも2年が経った。  折角の休みを昼まで寝て過ごし、寝呆けた頭で駅前まで来てしまった。  煙草をくわえて、ミスタードーナツへ、顔馴染みのアルバイトに手を振り、何時もの隅の席に座る。  コーヒーとドーナツが1つ。  1年中変わらない朝食。  何も変わらない日常と生活のパターン。  キオスクで買ったスポーツ新聞を広げて、コーヒーでドーナツを流し込む。  新聞記事の野球選手の契約更改の文字と数字。  億単位の金を稼ぐ、同い年の投手が、女優と結婚。
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