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牧野さんは、俺に向かい心配そうに言った。
「勇君、昨日酷い事言ったから、仕返しに来たのかな?」
俺は笑いながら牧野さんに安心する様に言った。
「大丈夫ですよ。あの人川沿いの新築マンションの人みたいですよ」
「いやだ。私やっぱりあやまらなくちゃ」
牧野さんはコーヒーを運び、リーさんのテーブルに行くと、深々と頭を下げて謝罪をする。
リーさんは牧野さんの謝罪に、席を立って頭を下げて応じていた。
牧野さんとリーさんの頭の下げ合いは、中々終わらなかった。
ようやく、終わったお辞儀合戦は、両者譲らず引き分けに終わった様で、牧野さんもリーさんも、顔が上気していた。
テーブルのリーさんが、おしぼりで顔を拭くのが可笑しかった。
ちなみに帰りにも、両者の対戦は実現し、再びドローとなった。
それ以来、リーさんと牧野さんは、とても仲が良く時々居酒屋で酒など呑む仲だった。
そんなリーさんが、ゴト師だなんて急には、ピンと来なかった。
「リーさん、どうして俺を助けたの?」
「勇君が、あの時助けてくれなかったら、私は多分日本にいられなかった」
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