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そんなリーさんに転機が訪れたのは、パチンコメーカーに勤める同胞の男、周と知り合った事だった。
パチンコメーカーSに営業として勤務し、新台入れ替えの立ち会いとして、リーさんが良く行くパチンコ店<ワールド>に来ていた。
偶然、駐車場で中国人の友人に電話をしていた時に、近くを通りかかったリーさんが、母国語に気付いたからだった。
パチンコ店で一番良く聴く言葉は、やはりハングルが多い。
中国語はパチンコ店では、警戒される事が多い。
それは蛇頭グループの様に、ゴトグループの存在があり、中国人=ゴト師と言った眼で見られるからだった。
リーさんも、パチンコ店では、友人と出会っても努めて母国語は使わなかった程だった。
しかし男は、委細かまわずに、平気で中国語を話していた。
男の身なりは、キチンとしたスーツを身に付け、リーさんの様にその日暮らしをしている様には見え無い。
周が電話を終えて、リーさんの視線に気付いた時に、リーさんは母国語で声をかけた。
「中国の方ですか?」
リーさんの言葉に、周は警戒感を見せながらも、返事を返した。
「そうですが、なにか?」
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