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「李 安城(リ・アンソン)と言います」
リーさんは名乗った。
周は名刺を差出し、丁寧にリーさんに渡した。
「周 慶明(シュウ・ケイメイ)です。よろしく」
二人は手を握った。
「一度、ゆっくり食事でもしませんか?」
周がリーさんに、提案した。
「良いのですか、私の様な人間と一緒にいて?」
リーさんが、周に尋ねた。
「何か問題が、ありますか?同胞が異国で、食事をする事に」
周はにこやかに、リーさんに言った。
「よろしくお願いします」
リーさんは再び、周に頭を下げた。
リーさんがこの国で得た、初めての友だった。
その後、周はリーさんを誘い、食事に行ったり、飲みに行ったりした。
周は、年齢が3歳下のリーさんを弟の様に扱い、リーさんは周を兄の様に敬った。
周はリーさんを気遣い、仕事を紹介してくれた。
コンピューターの扱いに優れたリーさんは、皿洗いなどでは無く、ソフト開発会社に就かせた。
また、柄の悪い友達から遠ざける為、アパートの世話までしてくれた。
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