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周はリーさんに、この国での生き方と、暮らし方を誰よりも、詳しく教えてくれました。
リーさんの生活は、周の手によって、明らかに変わって行った。
不安定だった収入が安定し、荒れた暮らしが、規則正しく送れる様になった。
会社の仕事は、業務用のプログラム開発が主で、リーさんに向いていた。
上司や同僚も、フランクな上に優しい人が多く、順調に付き合いが深まった。
そんな忙しい毎日でも、周はリーさんを気遣い、週末には食事を供にした。
順調に月日が過ぎ、周との出会いから1年が経った頃、周に異変が起こった。
いつもの週末の食事に、周が遅れて現れた。
周の顔はいつもと違い、頭髪は乱れ、目は充血していた。
明らかに異様な有様に、リーさんは周の身に、何事かのトラブルが発生した事に、気付いた。
「周兄!何事があったのですか?」
「小李、遅れてすまない」
「何があったんですか?」
「小李、心配をかけて、すまない。でも、いいんだもう」
周は、疲れ切った顔で、諦め切った言葉を、リーさんに言った。
「周兄、教えて下さい!何が起こったのです」
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