始まり

31/45
前へ
/45ページ
次へ
 リーさんにとって、パチンコ台のロムなど、子供騙しに過ぎない。  簡単な事だったが、リーさんは、恩人の周の仕事を考えた。  周の関係者が、違法ロムに関わる訳には行かず、リーさんは、断った。  今は、この話を受ける。  恩人の為にやる。  元々、私は汚れている。  私はこの国に、いてはいけない人間なのだ。  リーさんは恩に、蛇頭に連絡を依頼した。  蛇頭グループの、頭目と面会したのは、周と最後にあった翌日だった。  頭目は機嫌良く、リーさんの条件を飲み、その場で現金を渡してくれた。  余りに簡単に、リーさんの要求に応じて、金を出した頭目に、リーさんは尋ねた。  「いいのですか、簡単にお金を渡して?」  「大丈夫だよ、お前が行く所には必ず、私の部下が付いて行く」  頭目はトカゲの様な目で、リーさんを見て。  「仕事に失敗しても、お前の内臓があれば、出した金は回収出来る、だから心配はいらない」  リーさんは、頭から冷水を浴びせられた気がした。  リーさんの依頼で、恩が周に金と手紙を届けたのは、その日の夜の事だった。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1339人が本棚に入れています
本棚に追加