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リーさんの監禁生活が始まった。
思った通り、パチンコのロム解析の仕事は、欠伸が出るほど退屈だった。
そうして、蛇頭の指示通りの、ロムのプログラムを作成した。
彼らの依頼は、単純なワンセットのプログラムばかりだった。
リーさんの心は、少しづつ、病んでいた。
そんなリーさんが、唯一心を打ち明ける相手は、パソコンだけだった。
ある時、蛇頭からの依頼を受けて、スロット台のロム解析をしていた時だった。
リーさんは、2日で終わる作業が、既に4日が経っていた。
その時ドアが開き、蛇頭の連絡係の黄(ファン)がやって来た。
「李兄、スロットの解析は、もう止めて下さい」
黄は生真面目な表情で、リーさんに、告げた。
「何かあったのか?」
「李兄は、ここに来て、2ヶ月間も、表に出ていないです」
「そんなに、なりますか?」
リーさんは、自分を棄てた日から、月日の事を忘れて暮らしていた。
黄の言葉で、改めて無為の時間が、どれだけの長さだったのかをしった。
髪は伸び、髭も伸び放題にしていた。
仕事に打ち込めれば、まだましだった。
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