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車に運ばれたリーさんは、関が切れた様に、泣き続けた。
まるで、中国から日本に渡った、今日迄の全ての苦労を吐き出す様に、リーさんの涙は、止まらなかった。
リーさんが、落ち着いたのは、動物園の閉園時間がせまり、人影がまばらになった頃だった。
「李兄、大丈夫ですか?」
ぶっきらぼうに、黄が聴いた。
「ごめんなさい、黄君」
リーさんは、涙を拭いながら、黄に詫びた。
「久しぶりに、動物園にきて、興奮してしまいました」
はにかみながら、黄に笑顔を浮かべて、リーさんは詫びた。
「ずっと、閉じ込もってたから、心が疲れたんでしょう」
リーさんは静かに、黄に自分の精神状態を、分析してみせた。
「帰ったら、頭目に伝えて置きます」
黄は、硬い表情て、リーさんに告げる。
「はい、宜しく」
リーさんは、逆らわずに黄に言った。
帰りの車中では、2人だけになり、何も会話せずに、作業場に帰った。
リーさんの、環境を変えたのは、黄の頭目のへの報告だった。
「頭目、このままだと、李兄は精神を病んでしまいます」
「うん」
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