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I署の署長は、署員を前にして、訓示を垂れた。
「いいか、不良外国人による、薬物の密売を、絶対に許すな。我が所轄内で、のさばらせるな」
署長の訓示の効果はさて置き、署員達も自分の国で、外国人が薬物を蔓延させる行為は、絶対に許せ無い事だった。
また、地元のヤクザ達も、警察に迎合する様に、リーさんの所属するグループを、吊し上げにかかった。
更に、リーさんの所属するグループの同胞も、このグループの切り捨てに力を注ぎ、事態の沈静化と自分達に降り掛かる、火の粉を払おうとした。
四面楚歌になったグループは、主だった者の逮捕で、自然消滅を迎えた。
リーさんは、黄と2人で自分達にまで、警察やヤクザや同胞の追及が、及ぶ事を恐れて、部屋に閉じこもり、怯えていた。
やがて事態が終焉を迎え、グループが解散した事を知ったのは、買い物に出た黄が、知り合いの不良中国人の口からだった。
そこからの黄の動きは早かった。
たちまちA市の、中国人グループと渡りを付け、ゴトネタの開発の仕事を探し、リーさんと自分の生活を確保した。
リーさんと黄は、まるで仲の良い兄弟の様だった。
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