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ある部分で、浮世離れしたリーさんと、現実的な黄は、バランスの取れたコンピだった。
リーさんは、年下の黄に対しても、威張る事も無く、丁寧な言葉使いで接した。
黄は今迄、組織内での立場が低く、粗雑な扱いばかりを受けて来た。
だから、年長のリーさんから、丁寧な言葉を聞く事が嬉しくて、仕方ないでいた。
まるで、飼い主にまとわり着く犬の様に、リーさんの側から離れずにいた。
リーさんは、本当に満ち足りた日々を、送っていた。
しかし、そんな平穏な日々が、終わりを迎えた。
黄が何時もの様に、買い出しをしていた時、職務質問を受けた。
黄は十分に注意し、受け答えをしていたが、巧妙な誘導に引っ掛かった。
「あの高校なら、工業科の出身?」
警察官の質問に、黄は当然の様に頷いた。
「そうか?工業科が無いのに、どうやって出た?」
警察官の意地の悪い顔を、黄は手錠をかけられながら、じっと見ていた。
リーさんは、買い物から帰らない黄を案じて、探しに出た。
いつもの市場で、顔見知りの屋台のたこ焼き屋の若者が、黄の逮捕を見ていた。
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