始まり

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 マンションに帰ったリーさんは、まんじりともせずに、逮捕に来るであろう警察官を待った。  しかし、2日が経っても誰も現れなかった。  リーさんは、ホテルに部屋を取り、コンピューターの機材を運びこんだ。  1ヶ月間をホテルに隠れ住み、黄の情報を集めた。  ゴトネタを卸していた、グループの者から、黄が入管法で逮捕され、来月中にも強制送還される事を聞いたのは、ホテルを出た3日前だった。  リーさんは、弁護士を雇い、何とか黄に面会する事が出来た。  「黄君、大丈夫ですか?」  リーさんの問い掛けに、黄は涙を流した。  「李兄、ごめんなさい、私の不注意です」  黄は、監視員の目を気にして、小さな声で言った。  「それより、国に送られて大丈夫ですか?」  「大丈夫です、李兄こそ大丈夫ですか?」  「心配いりません。何か不自由はありません?」  「僕はいいです。李兄は今後1人で生きなければなりません。A市の市場で、中華料理店をしている、関さんを尋ねて下さい」  「中華料理店の関さん?」  「そうです、春来軒の関さんです。」  黄は必死で、リーさんに伝えた。
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