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「春来軒の関さんですね?」
「そうです。私から預かった物を取りに来たと、言って下さい」
「何かを預けているのですか?」
「そうです。1012と言って下さい。そうすれば、出してくれます」
「1012?」
「そうです、李兄の誕生日です」
黄は悲しげに微笑んだ。
弁護士が、リーさんの肩を叩き、時間が来た事を告げた。
「春来軒の関さんは、色々な事を知っています。困った事があれば、関さんに相談して下さい」
黄がリーさんの事を心配している事が、リーさんは一層辛く感じた。
「弁護士の先生に、何でも頼んで下さい」
「李兄、とても楽しかったです。本当にありがとう」
「私も楽しかったよ。君のお陰で、私は生き返る事が出来ました。本当に感謝しています」
「再見(ツァイツェン)李兄」
「再見(ツァイツェン)朋友(パンヤオ)」
これが2人の別れになった。
リーさんは、弁護士に出来るだけの事を頼み、帰路に着いた。
翌日リーさんは、黄が言った、市場の中華料理店に向かった。
今にも崩れそうな、とんでもない店だった。
準備中の看板は、薄汚れていた。
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