始まり

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 大きな男は、笑いながら話した。  「バカたれの友人もバカたれらしな?」  大きな男は、腰を屈めて、リーさんの前に、顔を突き出した。  「黄の小僧は、他に何も言わなかったか、李君?」  リーさんは、すっかり忘れていた、黄からの言葉を思い出した。  「あっ、すいません、1012です」  「だから、バカたれと言ったんだ」  「すいませんでした、すっかり忘れていました」  リーさんは、大きな男に謝罪した。  「まったく、黄の小僧が言った通りだな」  「はぁ?」  「ワシが、関・晶明(カン・ショウミン)だ」  大きな男は、リーさんに大きな手を差し出した。  リーさんは、関の差し出した手を、握り返した。  関は、ダンボールを動かし、1つから、紙袋を取り出した。  「これが、黄の小僧から預かった物だ」  そう言って、リーさんに差し出した。  「ありがとうございます」  リーさんは紙袋を受け取り、関に礼を言った。  「これが仕事だからな」  関は髭だらけの顔をなで、尻ポケットから、紙の束を取出し、その中から一枚をリーさんに渡した。  「それがリストだ」
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