1339人が本棚に入れています
本棚に追加
関は、胸を張り、豪快に笑いながら、リーさんを覗き込んだ。
「黄君に、このお金を渡して下さい」
リーさんは、茶封筒を差し出した。
「今は、これだけしか、ありませんが、これだけでも黄君に、届けて下さい」
関は、リーさんをまじまじと見つめ、そして微笑んだ。
「分かった、届けてやろう」
「ありがとうございます」
リーさんは、深々と頭を下げた。
「黄の小僧が言った通りの男だな」
「黄君は、何と言ったのですか?」
「頼りない人だが、欲の無い、信頼できる人だと、随分と誉めていた」
「黄君が、そんな事を」
「ああ、実の兄にしたい人だと言っていたよ」
リーさんは、また涙ぐんでしまった。
「李君、手紙を書きなさい、黄君に。お金と一緒に届けてあげるから」
「ありがとうございます、関さん。感謝します」
リーさんは、関が出してくれた、リポート用紙に、黄への感謝を手紙にし、金の入った茶封筒に、一緒に入れた。
「関さん、お願いします」
「明後日の夜には、小僧の手元に届ける」
「お願いします」
リーさんは、関に頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!