始まり

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 関は、胸を張り、豪快に笑いながら、リーさんを覗き込んだ。  「黄君に、このお金を渡して下さい」  リーさんは、茶封筒を差し出した。  「今は、これだけしか、ありませんが、これだけでも黄君に、届けて下さい」  関は、リーさんをまじまじと見つめ、そして微笑んだ。  「分かった、届けてやろう」  「ありがとうございます」  リーさんは、深々と頭を下げた。  「黄の小僧が言った通りの男だな」  「黄君は、何と言ったのですか?」  「頼りない人だが、欲の無い、信頼できる人だと、随分と誉めていた」  「黄君が、そんな事を」  「ああ、実の兄にしたい人だと言っていたよ」  リーさんは、また涙ぐんでしまった。  「李君、手紙を書きなさい、黄君に。お金と一緒に届けてあげるから」  「ありがとうございます、関さん。感謝します」  リーさんは、関が出してくれた、リポート用紙に、黄への感謝を手紙にし、金の入った茶封筒に、一緒に入れた。  「関さん、お願いします」  「明後日の夜には、小僧の手元に届ける」  「お願いします」  リーさんは、関に頭を下げた。
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