始まり

5/45
前へ
/45ページ
次へ
 「無視じゃあないべ、店長を探してんの」  俺は出来るだけ優しくサエに言った。  「店長いないよ。カウンターの梨華ちゃんが、楽勝でサボってたから」  サエは仲の良い店員の名前を言って、俺の知りたい事を教えてくれた。  俺は男の言った番号の台に向かった。  サエは相変わらず、裾を掴んだまま付いてくる。  俺は目でナンバーランプに書かれた、台番を探した。  海物語のコーナーに、男が言った番号があった。  その台には見慣れ無い男が座っていた。   202番台の男は足元に5杯のドル箱が積まれている。  俺は他の台も見た。  205番台は女が座っていて、足元に玉は無い。  208番台は男が座っていて、足元に12杯のドル箱が積まれている。  これじゃあわからねぇ、俺は小さく呟く。  俺はじっと立って、あの男が言った3台を見た。  205の女が席を立つ。  俺がその台に近付いた時、となりの台の男が煙草を置いた。  煙草を置いた男は俺を睨んだ。  睨まれた俺は、男の視線に冷たい物を感じていた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1339人が本棚に入れています
本棚に追加