始まり

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 「何か用事か?」 煙草を置いた男は、俺に脅しを入れてくる。  俺は、男の様子を見て、こいつらが、ヤクザかどうかが気になっていた。  「いいや、別に」 出来るだけ落ち着いて、俺は男に言う。  俺は出来るだけ、奴らの手元が見える席を探した。  絶対に何かがある。  それを見つけるんだ。  画面か?スイッチか?打ち出しか?何処にある?  焦りを押し殺して、俺は男の手元に全神経を集中して、何か分からない何かをさがした。  液晶画面の中央に8の図柄が止まると、男は席を立った。  俺が見ているのがバレたのか?と思い、慌てて自分の画面をみる。  男は俺に目もくれず、自販機のある所に歩いていく。  「違うんか?」 俺は独り言を漏らす。  「勇チャンどうしたの?」 サエが不思議な顔で俺を覗き込む。  「何でも無いよ」  俺はサエに笑顔を向けて、平然を装いながら男の動きを追い掛ける。  男は缶コーヒーを持ち、ことさらユックリと席に戻って来た。  俺は席に着いた男が、時計に視線を送るのを、見逃さなかった。  やがて男は、玉を打ち出し始める。
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