転機

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ひたすら動かしたその手が軽い疲労感を覚えたころ、俺は歯ブラシを置いた 新品だったはずのそれは、すでに毛先が軽く広がっていた 歯は異常なほどの白さを誇り目の前の鏡の中で胸をはっている 俺はもう一度爪で歯をひっかいてみた 爪の間にはなにもなく、口の中はすがすがしいまでに気持ちよかった 俺は気分よく自宅を飛び出して駆けていった 時計はいつもより三十分遅い時刻を刺していた
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