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「カルーの手足って靴下はいてるみたいだよね。あったかそう……」
カルーの手足と尻尾の先だけが白いのを見てとり、エリヤは脳天気極まりないことを言う。
「これはただの模様であって、防寒にはならない」
「カルーがあっためてよ」
カルーの言葉など一切聞かないで、その体を抱き上げた。
「お前は猫の話を聞かないのか。……冷たい!」
「あったかー」
温かなカルーの体に顔を埋めると、エリヤはようやく重い腰を上げた。
体に降り積もる雪にもお構い無しに、その足はゆっくりと、だが確かに聖堂へと歩みを進めていく。
諦めたのか、カルーはおとなしくエリヤの腕の中に収まったままだ。
「まったく……。罪人(ツミビト)の子が街中で凍死なんてしたら洒落にもならない。恥だ恥!」
「あはは、ゴメン」
「……その緊張感のなさがカルーは心配だ」
「俺の性格がどんなだって問題はないでしょ? この街で努めは終わり。そうだったよね」
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