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恵介は帰り際、由布の母に止められる。
「あなた…●●村の人間なの?」
「はい…。」
「●●は△に襲撃されたと聞いた事があるわ。捕らえて、連れ帰って、無理矢理働かせていると。王は、その理不尽さに、頭を苦しめているわ。うちらが簡単に説得できる相手ではないと。簡単に説得できていたら、早くに解放されているでしょう。でも、説得をこころみたのは確か。軍勢はうちらよりは劣るだろうけど、頭がキレるみたいね。隣国が全て、それを把握していて、非難してるみたい。動きを注視してるみたい。」
「私は、生き残りです。逃げて来ました。」
「由布が生まれて間もない頃。この家にいた時、●●の少女を見て、助けたわ。お腹をすかせていて、泣いてた。食べさせて、話してみたの。彼女は、お兄さんを捜していたみたい。一緒に逃げて来て、はぐれたみたい。」
「恵菜…。7つくらいの女の子ではなかったですか!?」
「ええ、そうよ。」
「恵菜…私の5つ下の…妹です。」
「え…!?」
「恵菜はどこにいるのですか!?」
「あの日、お兄ちゃんと由布が気に入ってね。一緒に寝たわ。泣いてた。私が優しく歌ってあげて、優しく撫でて添い寝したの。次の日、由布とお兄ちゃんを旦那さんに預けて、今の王に相談した。すると、責任を持って育てますと言って、保護してくれたわ。きちんと学校も行かせて、今は、城にいるかもしれないわ。学者に●●の女の子がいると聞いた事があるわ。王に聞いておくわ。大丈夫、私からの頼み、むやみに扱わない。」
「お城…。私と妹はあの日、棚に隠れていました。両親と兄はさらわれました。兄は、背が高くて、隠れられませんでした…小さかった私と妹は全てを託されて…。この町へ着こうとする頃、妹とはぐれて…。妹が無事ならいいのです。心配していました。」
「妹さんと会える事を祈っています。由布は、妹さんに、髪を撫でられて、喜んでいました。これはきっと運命でしょう。」
「はい。」
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