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由布のおめでたは母にも知らされる。
「赤ちゃん?由布、よかったじゃない。」
由布はデレデレして、お腹をすりすりして、
「幸せなの。この子が生まれて、家族3人になる事。」
(王もおじいちゃんね。)
兄はやはり面白くない。しかし、赤ちゃんだから下手な事は言えない。
恵介は由布を膝に座らせ、お腹を優しく包み込む。
母は、
「由布もお母さんね。今でも思い出すわ。由布の生まれた時。お兄ちゃんなんて、由布を放さないとベタベタするのよ。」
由布を放さないとベタベタ。それは、皇子の事。当時4つの皇子からしたら、かわいい妹と離れることは悲しかった。
「由布といたいもん。」
泣きじゃくる皇子。何度も由布にキスして、
「由布は僕が守るもん。」
由布と別れた後、ずっと泣いている皇子。
ずっと想い続けていた妹への愛。
パーティで再会した皇子と由布。皇子は一目でわかる。由布はもちろん覚えているわけではなく、由布は恵介へ、恋心を抱いていた。
母は、
「由布、真実は一つなの。信じていきなさい。」
と言う。
「はい。」
由布は言う。
恵介と由布は手を繋いで歩いている。恵介は由布の体調を気遣う。
「休む?」
「大丈夫です。」
休んでいる。
恵介は由布をあたためている。周りから見れば、仲睦まじい、夫婦。しかし、周りは、恵介に冷めた目をしている。
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