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珈琲を飲み干した後も立ち上がろうとしない彼を不思議に思いながらも佇んでいた
愛想の無いマスターがじろりと睨みながらカップを下げる様を見ていると流石にもうこの店から出ようと言いたくなる
カウンターに座る男性はマスターの知り合いの様で笑みを交えながら話しているから
この店で客らしい客はあたしたちだけなのだ
『そろそろ出ようか』
伝票を持って立ち上がると手を掴まれた
『ちょっと待って』
慌てた様子で言われてまたストンと座り直した
『何か飲む?』
立てかけたメニューを手に言われて黙って首を横に振った
カランカラン
入り口のドアが開く音がして、彼が軽く手を上げた
はにかむような笑顔で
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