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「……小僧。今朝方はずいぶん魑魅魍魎が騒いでるようだ。……これは独り言だぞ」
とって付けたような最後の意地に、八雲は思わず吹き出した。
「黒曜……それ、こっちじゃ『ツンデレ』って言うんだぜ」
これまた居場所は特定できないが、笑ったのが勘に触ったのか、不服そうな鴉の声が返ってきた。
「人間のことなんぞ知らん」
「あっはは、ゴメン。けど、うん。大丈夫、気を付けるよ」
それは不器用で意地っ張りな神様の忠告だった。
振り返り、八雲は笑う。
「ありがとう、黒曜」
「ふ、ん。……これは単なる俺の独り言だ」
「まったく」心を開かない訳ではないなとこっそり修正をして、八雲は家路に着いた。
なんだか黒曜は物騒なことを言っていたけど、新学期の幸先は悪くないんじゃないかと、そんなことを思いながら。
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