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そこに、先ほどまでの美少女は居なかった
振り返った先に居たのは
手元に炎の玉を作っている者、雷をまとった剣を持っている者、お魚を加えた者、血まみれの包丁を持った者、等と明らかに攻撃体制の沢山の'漢'が追いかけて来ていた。
「「「やまとくぅぅぅん!!好きだぁぁぁぁ!!」」」
沢山の漢は声を揃え、叫んだ。
それに応えるように大和も叫んだ。
「こっちに来るなぁぁぁぁ!!」
大和の速度は更に上昇した。
それを見た漢達の一人が声をあげた。
「止まりやがれぇ!!」
そう叫ぶや否や、漢は手元に作っていた炎の玉を大和に向かって投げつけた。
他の者も、これに習い己の魔法を大和に放った。
「ちくしょー!!」
大和は、漢共の魔法をギリギリのとこでよけつつ、走り続けた。
「「やまとぉぉぉぉ!!」」
大和の頑張りもむなしく、漢共の猛攻(求愛)は激しさを増すばかりであった。
「お前ら、いい加減にやめっ……うおっ!?」
大和が、漢共に言葉をかけようとしたその時だった。
「マジかよ!?」
大和は、足元にあった段差に気付かず、それにつまづき、見事に宙をまった。
宙をまった大和は、花壇へ突っ込み、そのまま重力に逆らうことなく、地面に不時着した。大和の目の前には、春の青い空が広がった。
大の字になって倒れた大和の顔の横では、タンポポが、風に揺れていた。
大和にとってそのタンポポは、今まで見たタンポポの中でも素敵なタンポポだった。
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