15.ドライフルーツの逃走

6/9
9316人が本棚に入れています
本棚に追加
/407ページ
「…………ん?」  さらり、と聞き流していたが百合子は二人の会話に引っ掛かりが話を戻す。 「そういえば……、美羽ちゃんって……梓君の家から出て来たような……」 「……今更かよ」  日向はあまりに鈍い反応に冷静に鋭くツッコミを入れた。  美羽は知らないフリをしていたが梓はしらっ、とした顔で彼女の肩に手を回す。 「当たり前。だって、コイツは俺の家に居たんだからな。つーか、夏休み始まるくらいから普通に居座ってるし」 「……同棲……?」 「断じて違う。梓が来い、って言うから……仕方なく行ってるだけだし……」 「ああ……。でも、それで行っちゃうんだね……」  案外素直な美羽に満足そうな梓は“お似合い”だろう。
/407ページ

最初のコメントを投稿しよう!