28.甘く蕩ける珈琲の如く

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 季節外れの苺を食べながら日向は智之のお説教を喰らう。 「あれほど一人で外にお出にならないように言いましたよね? 何故、朝の6時にあんな場所に? 私を何度死の狭間に追いやるおつもりですか? 次にこんなことをなさったら外出禁止にします。絶対、許しません。分かりました?」 「はいはい。わーた、わーた」 「『はい』は一回。適当な返事は今後一切許しません。これからはビシバシ、スパルタ教育にします。今日の授業、遅れた分も休日に僭越ながら私が教師代わりに授業を致しますので、ご覚悟の程、よろしくお願い致します」  優しさのかけらもない智之に日向はブーイングする。  そのブーイングすらも怒れる智之は一蹴した。  西園寺における史上初の執事の下剋上である。
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