28.甘く蕩ける珈琲の如く

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「日向っ!!」  危機迫る顔で最後に彼の所に訪れたのは百合子だった。  間違いなく学校が終わっていないであろう時間に血相を変えて乗り込んで来た百合子に日向は一瞬現実を忘れた。 「ゆ……百合子……?」 「うぅ……」  百合子は泣きながら日向のベットの横まで来て彼の身体に腕を回した。  子供のように日向を抱きしめて泣く。  ぎゅうぎゅうに締め付けられてこれがキッカケで死んでしまいそうなくらいだ。 「死んじゃ嫌ぁー……」 「いやいや、殺すな」 「もう、一人は嫌だぁ……」 「うん……」 「もう、淋しいのは……嫌……」  よりきつくなったハグはカタカタと小刻みに震えていた。  日向は百合子をそっと抱きしめ返す。
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