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「……今日は百合子と二人で出掛ける。絶対、尾行は許さない」
クリスマスに日向は使用人全員にそれを告げた。
特に視線を向けて強調されたのは―――智之である。
西園寺の子息がボディーガード無しで外出など以っての外だ。
日向は自分の置かれた立場を省みようとはしない。
当然、先日の出来事を根に持つ智之と一悶着起こる。
「なりません。行きたい所があるなら私がお連れ致します」
「クリスマスに今井と行きたい場所なんか無い」
「当然、百合子さんもお連れ致します。二人とも、私から離れての行動は許しません」
智之は随分と過保護且つ厳しく豹変した。
日向とセットの百合子も随分と自由に制限が加わる。
自分の身を考えてのことだと考えれば仕方のないことであろう。
しかし、日向に“理屈”が通用しないのはいつものことだ。
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