29.二人はさくらんぼ

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 取り乱していた日向はバツが悪そうに百合子から離れた。 「直ぐに出掛ける……。行き先は学校だ……」  百合子はわざわざクリスマスにそこに行く理由を知っている。  ただ、日向が望むままに百合子は傍に居ることを決めたのだ。 「……畏まりました。玄関前に車をお持ち致しますのでそこでお待ち下さいませ」 「ああ……。百合子、行くぞ」  日向も百合子も既に外出の準備は整っている。  日向は百合子を隣に並べて玄関先へ向かった。 「……今井さん、来るかな?」 「来る」 「そっか……」  もう、後戻りなど出来ないところまで来てしまった。  百合子は何だか寂しくて仕方なかった……。
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