29.二人はさくらんぼ

6/10
前へ
/407ページ
次へ
 百合子達は智之に付けられてながらあの場所へ戻った。  日向と百合子はコックボードに自分達の写真を貼る為にわざわざやって来たのだ。 「……私に聞きたいことはありますか? 日向様?」 「……」 「日向……」 「聞きたいことなんて無い。お前こそ俺様に言いたいことは無いのか?」 「……そう来ますか……。全く……めんどくさい……」  ピリピリした言い合いに百合子は板挟みにされる。  智之はある写真を手に取り煩わしそうに日向を見た。  日向は智之から目を離さない。 「さて……、では、これは誰と誰でしょうか?」  この前、二人がショックを受けた写真を智之は突き出した。  日向が智之を睨みつける視線に鋭さが増す。 「お前と早桜さんだろう……」 「ご名答。その通り」  智之は否定しない。  重い空気がより重くなる中で智之は気味悪く笑う。
/407ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9318人が本棚に入れています
本棚に追加