2.お子様ランチは低価格

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「きぃゃぁあぁぁーっ!」  春が夏に移り変わろうとしている西園寺家の朝はたいていと言って良いほど百合子の悲鳴から始まる。  メイドや執事は最初こそ驚き、屋敷を駆けていたものの、近頃ではそれすらほほえましくなっていた。 「いゃぁーっ、日向の変態、悪魔、エロ男っ!!」  西園寺家の跡取り息子に対して、しかも小学生に向かっての言葉とは思えないほどに暴言が連なる。  当の本人は眠りが深すぎる為に気付いてはいないだろう。  日向の寝起き悪さはピカイチであり、ある意味名物化していた。 「嫌、嫌、もー……っ、嫌ぁっ! 何であたしが日向のベットに居るの!? 何で日向は裸なのよっ!」  これは西園寺家のトップであり日向の父親であるおちゃめな和也(かずや)と日向の性癖を利用したビックプロジェクトである。  要は百合子と日向を西園寺家頭首直々に『離れられない関係を結ばせよう』的なアンビリーバボーな提案なのだ。  小学生と高校生、御曹司と平民の壁を吹き飛ばすような物に皆が皆、ノリノリなのだが本人達にしてみれば超が付くほど有難迷惑だった。
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