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話をしてると時間の流れも早くなってしまってあっという間に私の家が見えて来た。
「私の家ここ。」
「そうか・・・またな。」
私がそう思って欲しかったからなのか彼が残念そうな顔をしている様に見えて・・・
「ねぇ、凶也」
「ん?」
「呼んでみただけー」
「・・・またかよ?」
彼は苦笑いをする。
さっきの表情と比べると明らかにこっちの方が良かった。
「というのは冗談で」
「・・・?」
「・・・ぎゅって・・・して」
私の言葉にさすがの彼も驚いたようだったけど、すぐに私の目の前に来てその大きな温かい腕で私を包んだ。
道端でこんな事するのもどうかと思ったけど、彼の中にある何かを確かに感じていたから・・・それを一瞬でいいから消したかった。
彼の身体は大きくて抱き締めている内は私の身体がほとんど隠れてしまうから暗がりでは他の人には見えない。
私を抱き締める彼は私を守るように・・・周りの全てと私を切り離すかの様に強く強く抱き締めていた。
「・・・凶也」
「・・・」
「・・・苦しい」
「ああ・・・ごめん」
彼と私の間に空間が空いていく。
それがとても寂しく不安になった。
「それじゃ、また明日ね!」
「ああ」
これ以上一緒にいたら離れられなくなりそうだったから・・・
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