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「結衣ー、起きなさーい」
お母さんの声が聞こえる。
もう朝なんだ・・・でも、もうちょっと寝る余裕はあるから・・・
ドタドタドタ
階段を上る音が聞こえる。
お母さんここまで呼びに来たんだ・・・いつもは来ないのに・・・
扉の開く音がしたが布団に潜っているので誰なのかは確認出来ない。
まぁ、お母さん以外にはありえないけど・・・
「お母さん・・・もう少ししたら・・・起きるから・・・もう少し・・・」
睡魔の誘いを心地よく受け入れて眠りにつこうとした時に布団が剥ぎ取られた。
全身を外気の冷たい風が襲い私は身震いをする。
春とはいえまだ寒い・・・
「いつまで寝てるんだ?結衣」
・・・男の人の声がする・・・凶也っぽいけど・・・お父さんかな・・・?
「結衣!起きろ!」
「うるさいなー・・・もう少し寝かせてくれてもいいじゃ・・・」
言葉が詰まる。
まさに絶句したと言う表現がピッタリ当てはまった。
目の前にいるのはお父さんでもお母さんでもない。
凶也だった。
私のベッドの前で頭を掻きながら呆れた表情をしている。
・・・ヤバい
「お、おはよう!凶也!今日も良い天気だね!」
「いや、雨だぞ。お前の口元。」
凶也が指差す先には・・・
ヨダレをたらした自分がいた事に泣きそうになった。
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