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「契約シロ。オ前ノ支配下ノ元デ。」    風が吹く。轟々と音を立てながら。    紫色の不気味な空から、舞い降りてきたのは――契約の魔神    俺は少しだけ躊躇う。    「……本当に……死んだのか?」    魔神は表情一つ変えずに頷く。    「オ前ガ望ンダ終幕ダロウ。  オ前ハ枷ヲ自ラ付ケタンダ」    枷……そう、枷。  俺は自ら十字架を背負った。    身内の命を背負ったんだ――。    「サア、唱エロ。  復讐ノ呪文ヲ」    魔神は機械的な、空間が揺れるような……頭に響く声で言った。    「契約する……己の支配下のもと……十字架を背負い――  己は戦う」    木々から木の葉が舞い落ちる。  ひゅるり、ひゅるり。    ――俺は……。
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