第二話

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――師走 side 「俺が町人の家の水に触れられるはずがないだろう……」 独り言だ。 俺は調子が狂わされていた。 俺の身分を知った人間からこのような扱いを受けたのは初めてだったからだ。 偽善だと言えば追ってきたり…突き放せば余計な干渉はされないと思ったら、とんだ期待外れだ。 ――このことが町の人間に知られたらあいつはどうなる? そんなことは考えるまでもなかった。    ・・・ すぐに正しい判断はついた。 ――立ち去るべきだろうな。 けど今布が手に入らなければ、あいつは……浚(さらい)は死んでしまうかもしれない… 出会ったばかりの他人の立場より昔からの仲間の命。 どちらが俺にとって優先されるべきかは決まっていた。 それまで色々なところで俺達を排除してきた町人の一人の命より、仲間の命の方が大切だった。 ――馬鹿な奴だと思って利用するべきだ。 穢れることへの恐れなんて無いだろう? そう俺が決心すると、急ぎ足で”馬鹿な奴”が戻ってきた。
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