第二話

4/15
前へ
/71ページ
次へ
「お待たせ――って、顔洗ってないじゃない」 私の一言に、師走はため息を漏らす。 「俺が町人様の、水を使えると思ってるのか?」 彼は”町人様”を強調した。 「なんでそんなこと言うの? 私がいいって言ってるのに」 「哀れんでいるのか?」 また、鋭い眼。 「違――」 「善人ぶるな!! ――迷惑なんだよ!! 布さえ受け取れればこんな場所なんざ用済みだ!!!!」 師走の言葉に、私は申し訳ない事をしてしまった、と思った。 ――けど。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加