8人が本棚に入れています
本棚に追加
「お待たせ――って、顔洗ってないじゃない」
私の一言に、師走はため息を漏らす。
「俺が町人様の、水を使えると思ってるのか?」
彼は”町人様”を強調した。
「なんでそんなこと言うの?
私がいいって言ってるのに」
「哀れんでいるのか?」
また、鋭い眼。
「違――」
「善人ぶるな!!
――迷惑なんだよ!!
布さえ受け取れればこんな場所なんざ用済みだ!!!!」
師走の言葉に、私は申し訳ない事をしてしまった、と思った。
――けど。
最初のコメントを投稿しよう!