第二話

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私はずっと悩んでいた。 確かに蒼理さんのことは好きだと思っていたが、それは「恋愛」と言うより「敬愛」や「憧れ」の気持ちが強く、夫婦になれ、と言われても、やはりどこかが「違う」のだ。 けど、蒼理さんは私のことが好きだと言ってくれた。 ――私にはそんな気持ちはほとんど無い。 でも傷つけたくなんて無い。 そう思っていた。 しかしそれは今思うととても卑怯で、相手に失礼な気持ち。 そのときはそんなことを思ってもみなかった――後ろめたさが全く無かったわけではないのだけれど。 「そんなこと言わないで受け取ってよ。 これはおれの気持ちなんだから。 志那も言っているじゃない…人の好意は受け取れって」 「――そう…ですよね…申し訳ありませんでした」 私はカンザシを帯の背中側に挿した。 「謝らなくてもいいよ…おれも考えなしだったみたいだし。 ――でも、それが志那に一番似合うと思ったんだ。 李加もそう言ってくれたし」 「李加?」 私は思いがけない名前に、少し驚く。
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