第二話

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「――どうかした?」 「別に……」 その声は、やはりそっけないものだった。 ――気のせいかな…? 「…まぁいいや。 そう言えば、風邪をこじらせている人は何を食べているの?」 「普段と同じものだ。 滋養のあるものがないからな」 「――お粥とかどう?」 「粥……?」 「そうよ! 風邪の時にいいって聞くもの。 ――私、明日村に届けるわ!!」 今、私に出来そうなこと。 「――同情、か? 可哀相とでも思ったのか?」 師走の癇に障ったらしい。 もし私が男だったら、掴みかかっていたに違いない。 整った顔が、怒りに歪んでいた。 「私は身分制度が嫌い。 ――それじゃ理由にならないかな? 生まれで身分が決められて、仕事も服装も全部御上の言いなり。 何でそこまで枠にはめられなきゃいけないのって疑問に思ってた! だから、もうそんな制度を守りたくないの……」 「――なら…それが本音だとどう証明する気だ?」 師走はぽつりとつぶやいた。 私の言葉をどう受け止めたのだろう。 「明日お粥を村に持って行くわ。 罰せられることが少しでも怖い人間にそんなことが出来る? ――私は怖くない」 私の心は決まっていた。何としても行ってみせる。
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