第二話

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師走は、小さくため息をついた。 何処かばつが悪そう。 「――もし来るなら、途中でぼろきれにでも着替えろ。 …それくらいはした方がいい」 私はその言葉を嬉しく思った。 「わかった! ――さて、そろそろ父さんが帰ってくる時間ね。 捕まりたくないなら、帰った方がいいわ」 言い方が悪かったかもしれないが、事実だ。 「そうだな。 ――色々と済まなかった」 師走はぎこちなく微笑んだ。 その表情はやっぱり、優しい。 「私が勝手にしたことだから、礼なんかいいわよ」 「――確かにそうだな」 師走は荷物を持ち、裏口の戸を開けた。 そして、振り返り、悪戯っぽく笑う。 「じゃぁな! 八方美人!!」 「酷い! こうなったら絶対行ってやる!!」 私が言い切る前に戸は閉まった。 ――師走…不思議な人。 ぶっきらぼうで、何処か冷たいようにも見えるけど……優しい人。 「さぁて! お粥、作るぞ――ッ!!」 私はいそいそと慣れない料理の準備を始めた。
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