第一話

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ぶつかってきた少年がいきなり怒鳴り始める。 「…ってぇ…。 気ィ付けろ!! 愚図女!!!!」 「――なっっ…前見てなかったのはそっちでしょ!?」 私が言ったことを聞かずに彼は起き上がり、地面に落ちたものを急いでかき集めた。 何を拾っているのだろう、と、私はその手にふっと目をやった。 布。 ――この少年が犯人だ。 「――あなた…」 私が言い終わらないうちに、星霜屋から走ってきたと思われる親父が怒鳴る。 「――葵屋の娘だな! そいつを捕まえてくれ!!」 「!!」 親父の怒鳴り声を聞いた少年は手を止めた。 「来い!!!!」 少年は布を投げ捨てたかと思うと私の手をとり、走り出す。 「何するのよ!?」 星霜屋の親父が息せき近づいたかと思ったが、どんどん離れて行く。 少年と、彼に引かれて走る私の方が数段速かったのだ。 「待てェ――ッッ!!!!」
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