第一話
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そのまま、追いつかれるどころかどんどん離れていく。 少年の足は本当に速かった。 体力自慢の私が普段では考えられないような消耗を感じるくらいに。 だが、消耗の理由はもうひとつあった。 嗅いだ記憶が見つからないほどの異臭。 かんかん照りに激しい異臭。 ――耐えられない! 暫くの全力疾走の後、追いつかれない、と踏んだのか、彼の足はぴたりと止まった。
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