第一話

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「――もう…放してくれない?」 私が息を切らしながら言うと、少年は私の手を放した。 が、それと同時に懐から小刀を出し、私の首に突きつける。 「俺の顔をこんな近くで見ておいて、助かる、何て思っていないよな…?」 長い前髪の影から、鋭い眼光。 ――本気だ。 「――確かに。 普通ならただでは済まされないでしょうね」 いざとなれば蹴ってでも逃げてやる。 「ああ、今更他人を殺すなんてわけないさ」 彼は笑いながら言った。 しかしその笑みは自嘲しているようにも見えた。 その態度が何故か引っ掛かる。 「――何故そんなことを言うの…?」 「俺達は生まれた時から穢れているんだ」 「穢…れ……?」 「――お前、俺が何者か気付かないのか?」 彼は何処か呆れたように言った。 ――「穢れ」…… それに異臭、服装……まさか………… 「……あなた……もしかして……」 「ああ…お前の予想通りだ。 とにかく、お前には死んでもらう」 彼は小刀を更に近づける。
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