11日 説明があったあと…

1/3
前へ
/54ページ
次へ

11日 説明があったあと…

この日、医師から説明をうける。 その時、初めて親父が末期癌患者だと家族が認識する。 一刻一刻と親父の命の炎が弱くなっていくように感じた。 物事が事務的に進んでいく。 「延命・蘇生は、どうしますか?」 婦長さんが私達に聞く。 母親は、子供達に任せると。 姉は延命について、親父をこれ以上苦しめたくないと拒否をする。 他の兄弟も、促せられるように同意する。 母親も… 母親からすれば、一分一秒でも長くこの世に生がある状態でいて欲しかったと思う。 しかし母親は、子供達が決めた事だからと、静かに感情を抑えて同意する姿が、とても強く、そして哀しく見えた。 その後、慌てて東京のアニキに連絡。 東京のアニキは、電話の先で動揺を隠せない状態であったが、夕方までに来ると言った。 長男と弟は、葬祭会館の手配。 母親と姉は、もしもという時に、親父に着せる浴衣を取りに実家へ。 私は、東京のアニキを迎えに行くまで、一人で病室に残る事となった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加